【2026年版】個人事業主のネットショップ開業|業種別・運営段階別の選び方マップ

【PR】本記事には広告が含まれています。2026年5月時点の情報をもとに作成しました。

ハンドメイドのアクセサリーや自家製ジャム、中古レコードやデジタル教材を売りたい人。同じ「ネットショップを個人で開業したい」でも、選ぶべきサービスも必要な許可も違います。それなのに検索で並ぶのは「手順○ステップ」「初心者向けおすすめサービス」で、全業種を一括りに扱った記事が大半です。

僕は47歳のトラックドライバーで、独立に向けて開業準備を進めています。EC専門家でも税理士でもありません。WordPressで『開業のミカタ』を含む2サイトを公開した経験がありますが、ネットショップの運営は行ったことがありません。

今回の記事はあくまで調べた事実と公的データを軸に書きました。

競合上位の記事を読んでも、業種別と運営段階別の判断軸を組み合わせた記事は見当たりませんでした。本記事はその2軸から逆算して整理します。業種は「ハンドメイド/アパレル/食品/デジタル/中古品」の5つ、運営段階は「副業/本格運営/法人化前後」の3つで分けます。

ホームページとの併用判断や開業届・特定商取引法・確定申告まわりの案内は後述します。

目次

個人事業主がネットショップを開業する前に──この記事の使い方と判断軸

この記事の立場──業種と運営段階で分ける理由

僕自身は開業したいとは思っています。独立に向けて様々な事業を調べる中で、「ネットショップ 個人 開業」の検索結果に少し違和感を持ちました。

検索上位は「BASEは無料」「STORESはおしゃれ」と並びますが、判断軸はぼやけたままです。月商5万円の副業と月商100万円の本格運営で同じ正解で良いのか?ハンドメイドと食品で同じサービスを推奨して良いのか?──こうした違和感が出発点です。

BASEもSTORESもmakeshopも、正しく選べば強力な武器になります。問題は「業種と運営段階に合っているか」を判断できる形で他のサイトが書かれていないことです。本記事はサービスを選ぶ前に、判断軸を提示することに重点を置きました。

この記事の対象読者と判断軸3つ

本記事はネットショップを立ち上げたい個人事業主向けです。業種・規模に応じた判断軸と、BASE・STORES・makeshopの実コスト比較を扱います。

目的が違う方は別記事のほうがわかりやすいと思います。ホームページ(コーポレートサイト・LP)を作りたい方は記事20(ホームページ作成完全ガイド)、自宅住所を公開せずに開業したい方は記事3(バーチャルオフィス比較)が出発点です。開業届の手続きは記事11(開業届の出し方)、確定申告の準備は記事16(確定申告 必要書類)、インボイス対応は記事18(インボイス対応)を参照してください。

本記事の判断軸は3つあります。

  1. 業種ごとに最適解が違う(ハンドメイド/アパレル/食品/デジタル/中古品の5業種で分岐)
  2. 運営段階で判断軸が変わる(副業/本格運営/法人化前後)
  3. ホームページとは無理に統合せず役割分担が個人事業主の現実解

そもそも個人がネットショップを開業する必要があるか?

ネットショップが向く人・向かない人

ネットショップを個人で開業すべきかは、扱う商品の性格と販売方法で判断するべきでしょう。物販を遠方の顧客に届けたい、24時間販売を受けたい場合に向くでしょう。逆に、サービス紹介だけで成立する場合は、ホームページで足ります。

ネットショップが向く人の典型は次の3パターンです。

  • 物販を全国に届けたい人(ハンドメイド作家・地方の特産品・中古品の個人売主など)
  • 実店舗を持っているがオンラインも増やしたい人(ネット販売と店舗POSの連携で在庫を一元管理)
  • デジタル商材を販売したい人(電子書籍・素材・オンライン講座など)

逆に、来店中心の店舗運営でリピーターから売上が立っている方、BtoB契約中心で紹介から顧客を獲得できている方、対面で完結するサービス業の方は急がなくてよいでしょう。サービス紹介や問い合わせ獲得が目的の方は記事20(ホームページ作成完全ガイド)が向きます。実店舗のレジ・決済が中心の方は、小売店なら記事2(無料POSレジおすすめ)、飲食店なら記事9(飲食店向けPOSレジ)が出発点です。

「ホームページ単独」「ネットショップ単独」「両方必要」の3分類

サイトを運営しようと考えた際、判断として「ホームページ単独」「ネットショップ単独」「両方必要」の3つに分かれると思います。

判断のポイントは「お客さまに何を渡すか」です。情報や信頼性を渡すならホームページ、商品や決済をその場で渡すならネットショップが軸になります。

ホームページ・ネットショップの3分類

分類該当業種の例主な必要機能
ホームページ単独で済む士業/コンサル/講師業コーポレートサイト・予約フォーム・問い合わせ
ネットショップ単独で済むハンドメイド作家/物販/デジタル商材ネットショップ機能(決済・配送・在庫)
両方必要実店舗+ネット連携/ブランド構築型ホームページ+ネットショップ

「両方必要」の方は、まず本記事でネットショップ側の判断軸を固めた後で、ホームページ側の判断は記事20で補ってください。「無理に統合せず役割分担」が本記事の3つ目の判断軸です。

個人事業主が選ぶネットショップの3形態と料金構造

モール型・依頼型・自社構築型の3形態

ネットショップを始めるときの選択肢は、大きく3形態あります。集客力・自由度・初期コストが違うので、自分の事業に合った形態を選ぶことが先決です。

ネットショップ3形態の特徴比較

形態代表サービス月額の目安集客力自由度
モール型楽天市場/Amazon/Yahoo!約1〜10万円+手数料5〜15%強い低い
依頼型BASE/STORES/makeshop0円〜1.2万円+手数料0〜3%弱い中程度
自社構築型Shopify/WordPress+WooCommerce4,000円〜弱い高い

依頼型は、ネットショップのシステムをサービス側が提供してくれる形態で、自身は商品とデザインに集中できます。本記事ではこの依頼型を中心に扱います。モール型は集客力が強い一方、出店審査や月額料・手数料があり開業初期には敷居が高め。自社構築型のShopifyで月4,000円台から始められますが、設定や保守の技術知識が前提になります。

※WooCommerce(ウーコマース)とは、世界シェアNo.1のCMS「WordPress」にインストールして使う、無料のECサイト構築プラグインです。

初期費用・月額・販売手数料・決済手数料の4要素で見る

ネットショップの料金は「初期費用・月額・販売手数料・決済手数料」の4要素に分解できます。「無料」と書かれていても実質コストで見ないと損益判断ができません。

BASE・STORES・makeshopの料金構造(2026年5月時点)

項目BASE スタンダードSTORES フリーSTORES スタンダードmakeshop プレミアム
初期費用0円0円0円11,000円
月額0円0円3,300円(年契約)/3,960円(月契約)本体13,750円+ペイメント1,650円=15,400円
サービス/販売手数料サービス利用料3%0%0%0%
決済手数料3.6%+40円/注文5.5%〜3.6%〜3.19%〜

BASE公式「料金プラン」によると、スタンダードプランは月額0円ですが、サービス利用料3%と決済手数料3.6%+40円が発生します。

STORES公式の料金ページではフリープラン決済手数料は5.5%〜と明示されています。STORESは2025年3月27日に新プラン体系(フリープラン・スタンダードプラン)の提供を開始し、旧ベーシックプラン(月額3,480円)の新規受付を停止しました。現行はフリー/スタンダードの2プラン体系になっています。

makeshopプレミアムは本体13,750円(税抜12,500円)とクレジットカード決済オプションのmakeshopペイメント1,650円(税抜1,500円)で合計15,400円、販売手数料0%・決済手数料3.19%〜です。長期契約で最大15%OFFの割引も用意されています。

「無料」の意味するところは?──BASEスタンダードプランは実質6.6%+注文40円

依頼型サービスの「初期費用0円・月額0円」は確かに魅力的ですが、販売ごとの手数料を加味すると「本当の無料」とは言い切れません。BASEスタンダードはサービス利用料3%+決済3.6%+40円/注文で実質6.6%+40円/注文、STORESフリーは決済5.5%〜です。

月商10万円のショップなら、BASEスタンダードの年間手数料負担は約8〜10万円(基本79,200円+注文40円分は注文数次第)です。客単価3,000円・月33件なら40円分が年16,000円加算され、合計約9.5万円。月商30万円なら年24〜28万円、月商50万円なら年40〜45万円。

「無料」を選ぶ価値は初月の手元現金を守れることであり、月商規模が増えてきたタイミングで有料プランへの切替を判断するのが現実的です

運営段階別の判断軸──副業・本格運営・法人化前後で正解は変わる

副業のスタート期(月商5万円以下)──BASE無料プラン

副業として「とりあえず売ってみたい」という段階には、BASEのスタンダードプラン(月額0円)が向きます。

月商5万円以下なら年間の手数料負担は4万円前後に収まる試算で、売上が立たない月でも固定費が発生しないのでリスクを抑えて開業準備を進められます。

具体的な作業は「登録→商品登録→決済設定→ショップ公開」の4ステップで、所要時間は半日程度です。SNS連携や定期入金などの基本機能も無料で揃っているので、副業として小さく始めるなら最初の選択肢になりやすいでしょう。デザインテンプレートも豊富で、見た目を整える時間も短くて済みます。

無料ショップ開設なら【BASE】

個人事業主としての本格運営段階(月商10〜50万円)──STORES スタンダード

副業から本業へシフトし、月商10〜50万円の範囲に入ってきた段階では、固定費を払ってでも手数料率の低いプランに切り替えるほうが有利です

STORESスタンダードプラン(月額3,300円・年契約・税込)は決済手数料が3.6%まで下がるため、月商11万円を超えるあたりからBASEを下回ります。

BASE vs STORESスタンダード(年契約)の年間手数料比較

月商BASE スタンダードSTORES スタンダード差額の方向
月10万円約7.9万円約8.3万円BASE有利(年0.4万円)
月15万円約11.9万円約10.4万円STORES有利(年1.5万円)
月20万円約15.8万円約12.6万円STORES有利(年3.2万円)
月30万円約23.8万円約16.9万円STORES有利(年6.9万円)
月50万円約39.6万円約25.6万円STORES有利(年14万円)

月商が大きくなるほどSTORESスタンダードの優位性が広がり、月商50万円なら年14万円弱の差になります。スタンダードプランはネットショップ・キャッシュレス決済・POSレジ・予約システムなど7サービスを横断利用できる点も強みで、実店舗併設や予約販売も視野に入れる方には特に向きます。

驚くほど簡単にネットショップが作れる!【STORES】

法人化前後の段階(月商100万円以上)──makeshopか自社構築型

月商が100万円を安定的に超え、法人化を視野に入れ始める段階では、makeshopか自社構築型(Shopify・WordPress+WooCommerce)が選択肢に入ります。

makeshopプレミアムプランは月額15,400円(本体13,750円+ペイメント1,650円)で、販売手数料0%・決済3.19%〜です。

月商50〜200万円の年間手数料比較(参考)

月商BASESTORES スタンダードmakeshop
月50万円約39.6万円約25.6万円約37.6万円
月100万円約79.2万円約47.2万円約56.8万円
月200万円約158.4万円約90.4万円約95.0万円

純粋なコスト比較では月200万円規模でもSTORESスタンダードのほうが安く済みます。

makeshopが選ばれるのはコスト面ではなく、商品登録10,000点や本格的なネットショップ機能・BtoB対応・カスタマイズ性・拡張性といった機能面で、法人化後の規模拡大やブランド構築を視野に入れる事業者に向く選択肢です。法人化の検討時期や手続きについては記事17(合同会社設立の流れ)を参照してください。

運営段階を切り替えるべき4つのシグナル

副業から本格運営へ、本格運営から法人化前後へと段階を移すタイミングは、感覚ではなく具体的な数字で判断するのが安全です

  1. 月商:3ヶ月連続で前段階の上限を超えたとき(月5万→50万、月50万→100万)
  2. 出荷件数:月100件を超えると、無料プランの注文40円手数料が積み上がる
  3. 在庫量:常時保有在庫が30万円を超え、管理機能の充実が必要になったとき
  4. 税負担:年間の課税所得が600〜800万円を超えたら法人化検討の目安(個別判断は税理士相談を)

4つのうち2つ以上が次の段階に入ったら、プラン切替や法人化の本格検討を始めるタイミングでしょう。

業種別での判断──ハンドメイド・アパレル・食品・デジタル・中古品で最適解が変わる

ハンドメイド・アパレル小規模販売──STORESが向く理由

ハンドメイド作家やアパレルの小規模販売には、STORESが向くと思います

デザインテンプレートが48種類(STORES公式・2026年5月18日確認)と豊富で見た目を整える時間を短縮でき、Instagram連携も標準で揃い、商品の世界観を写真中心に伝えやすい設計です。月商10〜30万円程度を狙う規模なら、STORESスタンダードプラン(月額3,300円・年契約・税込)が無理のない選択になります。

なお、ハンドメイド作品の販売そのものに特別な許認可は不要です。ただし、革製品の動物保護関連規制、子ども向け玩具の安全基準、化粧品・石鹸の自家製造の薬機法など、業種別の規制を事前確認する必要があります

特定商取引法に基づく事業者情報の表記とプライバシーポリシーは開設時の必須項目で、STORESには雛形が用意されているので必要事項を埋めれば短時間で整備できます。

驚くほど簡単にネットショップが作れる!【STORES】

食品販売──食品衛生法対応が前提・BASEか自社構築型

食品を販売するネットショップを開く場合、食品衛生法に基づく届出または許可が必須です。

厚労省所管の食品衛生法改正(2021年6月完全施行)により、許可業種以外も含めて営業届出制度が新設され、オンライン販売も届出の対象になりました。

食品販売に必要な手続きの目安

食品の種類必要な手続き
加工食品(ジャム・菓子など)営業許可(業種は保健所で要確認)
包装済み常温保存食品営業届出(公衆衛生上の影響が小さい場合は不要)
すべての食品事業者食品衛生責任者の設置・HACCPに沿った衛生管理

サービス選びはBASEのスタンダードプラン(月額0円)か自社構築型が有力です

STORESも使えますが、食品販売特有の温度管理・賞味期限管理機能はサービス側で標準提供されていないため、自分の運用ルールでの対応が前提です。申請窓口は所在地の保健所で、許可業種は施設基準を満たす必要があるため、自宅キッチンで加工食品を作る場合は保健所への事前相談を強くおすすめします

無料ショップ開設なら【BASE】

デジタル商材販売はSTORES/中古品販売は古物商許可が前提

デジタル商材(電子書籍・素材・オンライン講座・ダウンロード販売)は、STORESのデジタルコンテンツ販売機能が標準で使えるため、ネットショップ単体で完結します。

在庫管理が不要で自動配信もできるのが特徴です。著作物を販売する場合は著作権や使用許諾の表記を事前に整備しておく必要があります。

中古品の販売には、警察庁所管の古物営業法に基づく「古物商許可」が必要です。中古品を仕入れて販売する場合や、買取と販売を組み合わせる場合に該当します。なお自分が使った物だけをオークションで売る場合は買取行為を伴わないため許可は不要です。

中古品の販売は依頼型サービス単独よりメルカリShops等のモール併用のほうが集客面で有利です。古物商許可の手数料は19,000円で、審査期間や手続きは申請先の警察署により異なるため、所轄警察署で事前確認することをおすすめします。

5業種別の早見表

これまでの内容を1つの表にまとめたものが下の業種別の早見表です(想定月商は僕の調査・分類による目安)。

業種別おすすめサービス・必要許認可マトリクス

業種推奨サービス必要な許認可想定月商主な注意点
ハンドメイドSTORES スタンダードなし(薬機法対象は要確認)月10〜30万円特商法表記・写真の質
アパレル小規模STORES スタンダードなし月10〜50万円在庫管理・サイズ表記
食品(加工)BASE or 自社構築食品衛生法に基づく許可・届出月5〜50万円食品衛生責任者必須
デジタル商材STORES(デジタル機能)なし(著作権の確認は別途)月3〜100万円自動配信設定・返品ポリシー
中古品自店EC+モール併用古物商許可(警察署)月10〜100万円仕入れ証明・盗品防止

業種が複数にまたがる場合は、メインの取扱商品で判断するのが現実的です

たとえばハンドメイドの石鹸は薬機法の対象になるため、化粧品製造業の許可が必要かどうかを保健所に確認しましょう。業種別の判断は本記事の1つ目の判断軸に対応し、想定月商が重なる業種では運営段階別の判断軸と組み合わせて選ぶのが現実的です。

個人事業主がネットショップを開業するときに必要な手続き

開業届と青色申告──開業から1ヶ月以内の提出が基本

ネットショップを個人事業として開業する場合、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」(通称:開業届)を提出する必要があります

国税庁公式(2026年5月時点)では提出期限は開業日から1ヶ月以内が原則と示されています。提出は無料で罰則は明示されていませんが、青色申告をするなら開業届の提出が前提です。

開業届の提出と同時に「青色申告承認申請書」も一緒に出しておくのがおすすめ。

国税庁「青色申告制度」によると、青色申告を選ぶと最大65万円の特別控除や赤字の繰越(3年間)といった節税メリットが受けられます。ネットショップは仕入れ・在庫・発送費など経費の種類が多いため、青色申告のメリットを活かしやすい事業形態です。

開業届の書き方や提出方法は記事11(開業届の出し方)で詳しく扱っています。電子申請(e-Tax)と紙提出の手順も別記事で用意しました。

特定商取引法に基づく表記──住所・電話番号の表示義務とバーチャルオフィス活用

ネットショップを運営する個人事業主は、特定商取引法(消費者庁所管)に基づき、サイト上に事業者情報を表示する義務があります

特定商取引法に基づく表記の主な必須項目

項目内容
販売者の氏名・住所・電話番号個人事業主は屋号でなく本名と現に活動している住所が必要
商品の引渡時期・送料注文から発送までの目安日数と送料一覧
返品の可否・条件返品期限・返金方法
販売価格・支払方法商品価格・支払い手段の明記

自宅住所や個人の電話番号の公開に抵抗がある場合、消費者庁の「特定商取引法ガイド」では、現に活動している住所であればバーチャルオフィスやレンタルオフィスの住所も使えるとされています。私書箱は「現に活動している住所」とはみなされず使えません。

電話番号も転送サービス経由で消費者が確実に連絡を取れる状態を確保すれば、バーチャルオフィスの番号が利用できます。バーチャルオフィスの選び方や料金比較は記事3(バーチャルオフィス比較)で詳しく解説していますので、そちらもご確認ください。

確定申告とインボイス対応──事業所得は確定申告が必須

個人事業主としてネットショップを運営する場合、年間の事業所得(売上から経費を引いた利益)が基礎控除額を超えると確定申告が必要です。基礎控除額は令和7年度税制改正により、令和7年分以後は合計所得金額に応じて58万〜95万円となりました(改正前は一律48万円)。

会社員の副業として始めた場合でも、国税庁の案内によると副業の年間所得が20万円を超えるなら所得税の確定申告が必要になります。確定申告を怠ると無申告加算税や延滞税が発生するため、収支が分かる帳簿は最初から残しておきましょう。

確定申告には「白色申告」と「青色申告」があり、青色申告のほうが節税メリットが大きいです。開業届と同時に青色申告承認申請書を出していれば、確定申告で青色申告を選べます。詳しい必要書類は記事16(確定申告 必要書類)で扱っています。

インボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応は、年商1,000万円以下の小規模事業者でも「課税事業者になるかどうか」の判断が必要です。免税事業者のままだと、取引先(B2B)から取引価格の見直しを求められる場合があります。インボイス登録の判断軸は記事18(インボイス登録しないとどうなる)で扱っています。

個人事業主が選ぶべきサービスの判断基準

商品単価×取引件数×運営工数の3軸でみる適性

サービス選定で迷うときは、「料金」だけでなく「商品単価」「取引件数」「運営工数」の3つで見ると判断しやすくなります。料金は3社で大差ないケースでも、この3つで向き不向きがはっきり分かれます。

3軸でみる適性マトリクス

商品単価取引件数推奨サービス理由
高(5,000円〜)少(月50件以下)BASE売れたとき手数料、固定費ゼロでリスク低
中(1,500〜5,000円)中(月50〜200件)STORES スタンダード固定費に対し決済3.6%で手数料を抑える
低(〜1,500円)多(月200件超)makeshop販売手数料0%、注文ごとの追加コストなし
高〜中多(法人化視野)自社構築型カスタマイズ性・拡張性で運営最適化

たとえば客単価3,000円・月50件・SNS連携中心の運営なら、年取引600件・年売上180万円程度です。BASEは注文40円×600件=年24,000円の追加コスト、STORESスタンダードなら月額固定3,300円×12=年39,600円。月商規模で有利不利が変わるので、この3つで適性を測ると3年後の後悔を減らせます。

ホームページとの併用判断──「ペライチHP+BASEショップ」型の役割分担

個人事業主の現実解として、「ホームページ単独」「ネットショップ単独」より、「両方を別サービスで役割分担」が機能する場合が多くあると思います。ネットショップで全部やろうとせず、ブランディングや情報発信はホームページ側に任せる発想です。

役割分担パターンの例

用途ホームページ側ネットショップ側
個人ブランディング+少量物販ペライチ(月0円〜1,000円台)BASE スタンダード(月0円)
実店舗紹介+オンライン物販WordPress(独自ドメイン)STORES スタンダード
法人化・本格運営WordPress(コーポレートサイト)makeshop or Shopify

ペライチ+BASEの組み合わせは月額固定費0円で始められ、運営の初期段階に向きます。「無理に統合せず役割分担」が本記事の3つ目の判断軸で、特に開業初期の方には現実的な選択肢です。ホームページ側の詳細は記事20(ホームページ作成完全ガイド)を参照してください。

サービス選定で陥りがちな落とし穴

最後に、サービス選定で個人事業主が陥りがちな落とし穴を3つ整理します。広告で目立つメッセージに振り回されず、自分の事業の実態に照らして判断するのが安全です。

  1. 「無料プラン」を額面通り受け取る:BASEスタンダードの実質コストは6.6%+40円/注文、STORESフリーは5.5%〜です。月額0円だけでは判断できません。
  2. 規模拡大時の移行コストを見落とす:BASEから他サービスへ移行する際、商品データ・顧客データの移し替えに手間がかかります。最初の選定で「3年後の運営規模」を意識しましょう。
  3. テンプレートで足りる人がmakeshopを契約する:BASEやSTORESの標準テンプレートで足りる規模で月額1.2万円超を払うのはコスト過剰です。

3軸判断・役割分担・落とし穴を踏まえれば、自分の事業に合うサービスが見えてきます。広告の音量に惑わされず、自分の判断軸で選ぶのが3年後の運営の安定につながります。

BASE・STORES・makeshopの詳細比較

BASE──スタート期に強い無料プラン

BASEは2012年創設のサービスで、ネットショップ開設サービスとして個人事業主からの認知が高いです。スタンダードプラン(月額0円)の手軽さで初心者の選択肢として圧倒的な実績があります。

BASEの料金プラン(2026年5月時点)

プラン月額サービス利用料決済手数料
スタンダード0円3%3.6%+40円/注文
グロース19,980円(月払)/16,580円(年払)0%2.9%

BASEに向くのはハンドメイド作家・小規模販売者・副業のスタート期で始めたい人です。月商規模が大きくなり手数料負担が増えたタイミングで、グロースプラン(年払い月額換算16,580円・手数料2.9%)への切替や他サービスへの移行を検討するのが現実的です。デザインカスタマイズの自由度はテンプレ範囲内に限られ、B2Bや複雑な在庫管理には向きません。

無料ショップ開設なら【BASE】

STORES──本格運営とパッケージ展開

STORESは2012年創設のサービスで、2025年3月27日の新プラン提供開始により、ネットショップ・キャッシュレス決済・POSレジ・予約システムなど7サービスを一括で使えるパッケージ型サービスへ進化しました。

STORESの現行プラン(2026年5月時点)

プラン月額決済手数料主な特徴
フリー0円5.5%〜スタートに最適・無料で全機能利用
スタンダード3,300円(年契約)/3,960円(月契約)3.6%〜7サービス横断・対面決済1.98%〜

STORESに向くのはハンドメイド・アパレル小規模・デジタル商材販売を本格運営したい個人事業主です

月商10〜50万円の範囲で手数料負担を抑えたい層に強く、実店舗を持つ事業者の場合はPOSレジ・予約システム・モバイルオーダー・顧客アプリなど追加料金なしで横断利用できる強みがあります。

複数サービスを別々に契約するより1本でまとめたほうがコスト効率が良いケースが増えました。旧ベーシックプラン(月額3,480円)は2025年3月27日に新規受付停止されています。

驚くほど簡単にネットショップが作れる!【STORES】

makeshop──本格運営・法人化前後対応

makeshopはGMOメイクショップが運営するネットショップ作成サービスで、本格運営や法人化前後の事業者に向く設計です。

makeshopプレミアムプランの料金構造(2026年5月時点)

項目金額
初期費用11,000円(税込)
月額本体13,750円(税込・税抜12,500円)
makeshopペイメント(カード決済オプション)1,650円(税抜1,500円)
月額合計15,400円(税込)
販売手数料0%
クレジットカード決済手数料3.19%〜

makeshopに向くのは月商100万円以上を狙う本格運営、法人化前後の事業者、商品数が多いショップやB2B取引中心の事業者です

商品登録10,000点・本格的なネットショップ機能・BtoB対応・カスタマイズ性が強みで、コスト面ではSTORESスタンダードと比べて月50万円規模で年12万円程度、月200万円規模で年4.6万円程度の差がmakeshop側に残ります。

コスト最優先ならSTORESスタンダードが有利ですが、makeshopは機能拡張性・カスタマイズ自由度・サポート体制で法人化後の事業者に選ばれます。長期契約割引(最大15%)もあります。

【圧倒的!業界No.1コスパ】ネットショップ開業ならmakeshop

3社の総合判断ポイント──早見表で振り返り

本記事の判断軸(運営段階・業種・ホームページ役割分担)を踏まえた3社の最適マッチを早見表でまとめます。

3社の総合早見表

サービス適する運営段階適する業種月額実質コスト目安
BASE スタンダード副業のスタート期(月5万円以下)ハンドメイド・小規模販売0円6.6%+40円/注文
STORES スタンダード本格運営(月10〜50万円)ハンドメイド・アパレル・デジタル3,300円〜月3,300円〜+3.6%
makeshop プレミアム法人化前後(機能拡張性重視)本格運営・B2B・大規模物販15,400円月15,400円+3.19%〜

「自分の運営段階×業種」を表に当てはめて、最初の候補を1つ絞るのが現実的です

複数候補で迷う場合は、月額固定費を払ってでも手数料率を下げたいか(規模拡大想定)、固定費ゼロで始めたいか(リスク回避優先)の2軸で判断するとシンプルに決まります。

よくある質問(FAQ)

バーチャルオフィスの住所は特定商取引法の表記に使えるか?

A,使えます。

消費者庁の「特定商取引法ガイド」によると、現に活動している住所であればバーチャルオフィスやレンタルオフィスの住所も使えるとされています。郵便局の私書箱は「現に活動している住所」とはみなされないため使えません。電話番号も転送サービス等で消費者と確実に連絡が取れる状態を確保すれば、バーチャルオフィスの番号が利用できます。詳細は記事3(バーチャルオフィス比較)を参照してください。

副業の場合、確定申告は必要か?

A,副業として個人事業を行う場合、年間の事業所得(売上から経費を引いた利益)が20万円を超えるなら確定申告が必要です。

20万円以下なら所得税の確定申告は原則不要ですが、住民税は別途申告が必要な場合があります。なお、開業届を提出して青色申告特別控除や赤字の損益通算といった税優遇を受けたい場合は、所得が20万円以下でも実質的に確定申告するケースが多くなります。詳細は記事16(確定申告 必要書類)で扱っています。

月商0円の月でも、月額固定費は発生する?

A,BASEのスタンダードプラン(月額0円)なら、月商0円の月に手数料・固定費は発生しません。一方、STORESスタンダード(月額3,300円〜)やmakeshopプレミアム(月額15,400円)は売上ゼロでも月額固定費が発生します。

月商0円月と月商10万円月の手数料比較

サービス月商0円の月月商10万円の月
BASE スタンダード0円約6,600円(+注文40円分)
STORES フリー0円約5,500円
STORES スタンダード(年契約)3,300円約6,900円
makeshop プレミアム15,400円約18,590円

スタート期や月によって売上にばらつきが出る段階では、固定費ゼロのBASEまたはSTORESフリーから始めるのが安全です。

ハンドメイドのオーダーメイド販売で個人情報を扱う場合の注意点は?

A,お客様の氏名・住所・連絡先などの個人情報を扱う場合、プライバシーポリシーの明示と個人情報保護法に基づく管理が必要です。

特にイニシャル入りや名入れ商品など、お客様情報を商品に直接反映するケースでは、情報管理を厳重にしておきましょう。受注完了後の情報削除ルールや保管期間の規定をあらかじめ定めておくと、後のトラブル防止につながります。

BASEやSTORESにはプライバシーポリシーの雛形が用意されているので、自分の事業内容に合わせて埋めるのが最初の一歩です。

まとめ──業種×運営段階で選ぶのが個人事業主の現実解

ネットショップを個人で開業するときの「正解」は、業種と運営段階の組み合わせで変わります。本記事の判断は次の3つです。

  1. 業種ごとに最適解が違う(ハンドメイド/アパレル/食品/デジタル/中古品の5業種で分岐)
  2. 運営段階で正解が変わる(副業のスタート期/本格運営/法人化前後)
  3. ホームページとは無理に統合せず役割分担が個人事業主の現実解

具体的な最初の候補は、副業のスタート期(月商5万円以下)はBASE、本格運営(月商10〜50万円・ハンドメイド/アパレル/デジタル)はSTORES、法人化前後(月商100万円以上)はmakeshopまたは自社構築型がそれぞれ第一候補になります。中古品を扱う方は古物商許可、食品を扱う方は食品衛生法対応が前提です。

今回調べて思ったのは、迷ったらSTORESのスタンダードプラン(月額3,300円・年契約・税込)で始めるのが汎用性が高くおすすめできます。月商11万円を超えるあたりからBASEより有利になり、本格運営期にも対応できます。実店舗を併設する事業者なら、POSレジ・予約システムなど7サービスをパッケージで使える設計がそのまま活きます。

驚くほど簡単にネットショップが作れる!【STORES】

開業届・特定商取引法・確定申告・インボイスなど、開業全体の流れを把握したい方は、記事1(開業準備チェックリスト)を参照してください。本サイト【開業のミカタ】では、業種別・段階別の判断軸を整理した記事を順次公開していきます。

自分の業種と運営段階を表に当てはめて、最初の候補を1つ絞れば、開業までの距離はぐっと近づきます。最初の一歩は無料プランから試して感触を確かめるのが、リスクを抑えながら判断材料を集める現実的なやり方です。

関連記事リスト

出典一覧

  1. BASE公式「料金プラン」(株式会社BASE)
    URL:https://thebase.com/price/
    確認日:2026年5月18日
  2. STORES公式「フリープラン・スタンダードプランの料金一覧」(株式会社STORES)
    URL:https://stores.fun/pricing
    確認日:2026年5月18日
  3. STORES プレスリリース「STORES、店舗運営に必要な7サービスをまとめた新プランを提供開始!月額3,300円/決済手数料1.98%〜」(2025年3月27日発表・提供開始2025年3月27日)
    URL:https://www.st.inc/news/2025-03-27-stores-newplan
    確認日:2026年5月18日
  4. makeshop公式「プレミアムプラン」料金表(GMOメイクショップ株式会社)
    URL:https://www.makeshop.jp/main/plan/premium.html
    確認日:2026年5月18日
  5. 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
    URL:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
    確認日:2026年5月18日
  6. 国税庁「No.2070 青色申告制度」
    URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
    確認日:2026年5月18日
  7. 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
    URL:https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm
    確認日:2026年5月18日
  8. 消費者庁「特定商取引法ガイド」(通信販売規制)
    URL:https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/
    確認日:2026年5月18日
  9. 警視庁「古物商許可申請」(古物営業法に基づく)
    URL:https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/tetsuzuki/kyoka.html
    確認日:2026年5月18日
  10. 厚生労働省「食品衛生法等の一部を改正する法律」(令和3年6月1日施行・営業届出制度創設・HACCP制度化)
    URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/index.html
    確認日:2026年5月18日
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次